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MDA測定キットのデータ解析法  
【MDA測定方法の選択】
本キットでは、532nm付近の吸収(赤色)を利用してMDAを検出します。サンプルの種類により バックグラウンドの影響を受ける場合があります。サンプルのバックグラウンド吸収特性と、必要なデータ精度に応じて 解析法を選択します。
マロンジアルデヒド(MDA)測定時の吸光度スペクトル

1)532nm単波長測定
最も簡便な測定法です。サンプルのバックグラウンドが低く、MDA標品の場合に近い吸収スペクトル(左図 青線)を示す場合に 適用します。

2)ゼロ補正
532nmにおける吸光度から700nmにおける吸光度を引く補正方法です(700nmにおけるゼロ補正)。532nm付近から700nmにかけて バックグラウンドレベルが均一な場合に適しています。

3)Jentzsch法
Jentzschら1)により開発された補正法で、535nmと572nmにおける吸光度の差分を用いてMDA濃度を算出します。 単波長測定、ゼロ補正よりも精度の高いデータが得られますが、組織ホモジネート(左図 赤色)のように複雑なバックグランドを 示すサンプルでは、バックグラウンドの影響が残る場合があります。

4)3rd derivative analysis法
Botsoglouら2)による解析法で、組織ホモジネート(左図 赤色)のように複雑なバックグランドを示すサンプルでも MDAのシグナル(TBA2-MDA)を検出することが可能です。サンプルおよびスタンダードの反応液について 400〜700nmの吸光スペクトルを1〜2 nm間隔で測定します。本キットの製造元NWLSS社の ウェブサイトにてオンライン解析が 可能です。本ページでは、この3rd derivative analysisの使い方を解説しています。


マロンジアルデヒド(MDA)測定時のデータ解析 実施例
【3rd derivative analysisの実施例】
MDA測定キットを使い、スタンダードおよびサンプルの反応液の吸光スペクトルを測定します。 400〜700nmの吸光度を記録し、CSV形式のExcelファイルに保存します。解析精度を高めるため、 1nmまたは2nm間隔での測定をお奨めします。測定波長の間隔が5nm以上の場合、解析が困難となる場合があります。
マロンジアルデヒド(MDA)データ解析のパラメータ設定

吸光度データを左図を参考に、CSV形式のExcelファイルとして保存します。
ここではスタンダードおよびサンプルをN=2で測定し、下記のようにスタンダード/サンプル名を付けています。
C0-1, C0-2:スタンダード 0μM
C1-1, C1-2:スタンダード 1μM
C2-1, C2-2:スタンダード 2μM
C3-1, C3-2:スタンダード 3μM
C4-1, C4-2:スタンダード 4μM
A1-1〜  :サンプル

見本のCSVファイルはこちらからダウンロードできます。

NWLSS社のオンライン解析ページを開きます。
(クリックすると別ウィンドウで開きます)

尚、数値の設定やスタンダード/サンプル名、およびオンライン解析の設定値の入力には、必ず半角英数文字を使用してください。
マロンジアルデヒド(MDA)測定時のデータ解析パラメータの設定

パラメーターを設定します。設定値は吸光スペクトルの特性により異なります。

Polynomial(M):
3〜5の範囲で、Derivative(d)と同じか大きい数、かつ、Filter length(f)より小さい数を設定します。 設定例:4

Derivative(d):
2〜4の範囲で、吸光スペクトルの特性に応じて設定します。 設定例:3

Filter length(f):
吸光度データが1nm間隔の場合は29、2nm間隔の場合は15を設定します。それ以外の波長間隔の場合は (29÷波長間隔)を整数で設定します。



Scale(s):
計算結果を見やすくするために、スケールを設定します。計算結果自体には影響を与えません。 設定例:1000000

ファイル名の指定
「参照」ボタンを押し、吸光度データの入ったCSVファイルを指定します。

チェックボタン(Load Example File)
ここにはチェックを入れないようにご注意ください。チェックを入れますと、デモンストレーション用のデータが使用されます。

波長レンジの指定
使用説明書通り、400nmから700nmまでの吸光度データを解析する場合には空欄のままにしておきます。 吸光度データが400〜700nm以外の場合には、「User defined range」にチェックを入れ、 実際に解析する吸光度レンジを設定します。

解析開始
「Process」ボタンを押します。

マロンジアルデヒド(MDA)検量線の作成

「Calibration」ボタンを押します。



マロンジアルデヒド(MDA)検量線の設定

スタンダード濃度設定
製品に添付されているスタンダードの濃度を設定します。ここでは「0,1,2,3,4」と設定します。

「Assign」ボタンを押します。



マロンジアルデヒド(MDA)検量線の設定

スタンダードの設定
スタンダードの位置および、各スタンダードの濃度を設定します。
この例では、C0-1とC0-2を0μM、C1-1とC1-2を1μM、C2-1とC2-2を2μM、C3-1とC3-2を3μM、C4-1とC4-2を4μMとして スタンダードを設定しています(N=2)。実際に作成したデータの配列に合わせてチェックボックスをONにしてください。

「Calculate」ボタンを押します。



マロンジアルデヒド(MDA)検量線の確認

検量線の確認
検量線がきちんと引けているか、各スタンダードが直線に乗っているかを確認します。

「Download Results」ボタンを押します。



マロンジアルデヒド(MDA)濃度計算結果
計算結果がCSV形式でダウンロードされます。


マロンジアルデヒド(MDA)測定キットの参考文献
【参考文献】
1) Improved analysis of malondialdehyde in human body fluids. Jentzsch AM, Bachmann H, Furst P, Biesalski HK. Free Radic Biol Med 20(2),p251-256(1996)
2) Rapid, Sensitive, and Specific Thiobarbituric Acid Method for Measuring Lipid Peroxidation in Animal Tissue, Food, and Feedstuff Samples. Nickos A. Botsoglou, Dimitrios J. Fletouris, Georgios E. Papageorgiou, Vassilios N. Vassilopoulos, Antonios J. Mantis, and Antonios G. Trakatellis. J. Agric. Food Chem.42(9), p1931-1937 (1994)
MDA測定キット 学術情報
酸化ストレスマーカー マロンジアルデヒド(MDA)測定キット データ解析方法
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