Rev.171107
酸化ストレスマーカー(タンパク質酸化損傷)
Protein Oxidation Biomarkers 日本老化制御研究所"
タンパク質過酸化物(AOPP)
測定キット

Advaned Oxidation Protein Product Assay Kit
(酸化ストレス研究用試薬)
【AOPPとは】
Advanced oxidation protein products (AOPP)とは 次亜塩素酸(HOCI)が血漿タンパク質に 反応して形成される酸化損傷生成物の総称1)です。AOPPの血清クリアランスの遅れは、AOPPはアテローム性 動脈硬化病変の病理に関わっているとされています2)。AOPPは尿毒症において酸化ストレスのメディエーターで あることが示されているほか、冠動脈疾患の独立したリスクファクターであることが報告されています。高コレステロール 血症ウサギを対象にした試験では AOPPの静脈投与によってアテローム性動脈硬化病変が促進されることが確認されております 3)。末期腎疾患(ESRD)患者や、透析患者、強直性脊椎炎(AS)患者、糖尿病ラット(GKラット)などで高値を示します。
【AOPPの特徴】
AOPP測定値は脂質酸化マーカーとは異なる挙動を示します。例えばAOPP測定値は血漿中の ジチロシン濃度やAGEペントシジンと相関する一方、TBARS(脂質酸化物)には相関しないとされています。ラット腎疾患 モデルでは、血漿MDAは上昇しない一方、AOPPは上昇します4)。また、子癇患者ではMDAが上昇するのに対しAOPPは 上昇しないことが知られています。脂質系の酸化ストレスマーカーとは異なる挙動を示すタンパク質酸化損傷マーカーとして 期待されています。
健常者を対象にした研究では、低酸素下での激しい運動によってAOPPが上昇すること、白ワイン摂取によりAOPPが低下することが 報告されています 5)。 また、菜食主義者90名と通常食者46名を対象とした研究では、AOPPがメタボリックシンドロームの 独立したリスクファクターであることが示唆されております6)。 また、最近になり尿中でもAOPPを測定可能であることが報告されており、大腸がんおよび乳がん患者において 高値を示します7)。 本キットはEDTA血漿および尿サンプルを対象に、AOPPを簡便迅速に測定するものです。96穴マイクロプレートを使って比色法 (340nm)にて測定します。
品名 商品コード 測定レンジ 測定波長 価格(税込)
AOPP測定キット KAP-100D 6.25〜100μmol/L 340nm 104,500円
【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。
 
 
【AOPP測定キット 構成品】
マイクロプレート: 96穴(8*12分割タイプ)1枚 そのまま使用します。
アッセイバッファー: 1本(約65mL) そのまま使用します。
標準物質: 4本(凍結乾燥品) 蒸留水1mLを加えて溶解します。濃度はラベルに記載。
コントロール: 2本(凍結乾燥品) 蒸留水1mLを加えて溶解します。溶解後は-20℃以下で2ヶ月間使用できます。
脱脂処理試薬: 1本(約2.5ml) そのまま使用します。
【測定プロトコル】
スタンダードの調製: 1) 蒸留水を添加して溶解します。
溶解方法、溶解後の濃度は、キット同梱のデータシートに記載されています。
アッセイバッファーを用いて、S1(0µmol/L)〜S6(100µmol/L)を調製します。
溶解後のスタンダードは不安定であり、保存できません。
コントロールの調製: 1) 蒸留水を添加して溶解します。
液量、溶解後の濃度は、キットに同梱されているデータシートに記載されています。
溶解後のコントロールは不安定であり、保存できません。
サンプルの調製: 1) サンプルには新鮮なEDTA血漿を使用します。
測定前に10,000rpmにて30秒遠心をして不溶物を取り除きます。
  2) EDTA血漿 125μLに対し、脱脂処理試薬 25μLを加え、ボルテックスでよく攪拌します。
  3) 室温にて10分間インキュベートし、10,000rpmにて5分間遠心します。
  4) 脱脂処理した血漿サンプル 100μLに対し、アッセイバッファー 400μLを添加し、ボルテックスにて
よく攪拌します。 (以上の前処理によりサンプルは6倍希釈されます)
測定手順: 1) 予め全ての試薬を室温に戻しておき、サンプルおよびスタンダードを調製します。
  2) ウェルにStandard-0〜5、コントロールおよびサンプルを200μL分注します。
  3) マイクロプレートリーダーを使って340nmの吸光度を測定します。
  4) 検量線とサンプルの吸光度からAOPP濃度を計算し、6を掛けます(希釈率補正)。
【使用上のご注意】
1) 使用前にキットを室温(18〜26℃)に出し、よく攪拌してください。
2) スタンダードを含め、全ての測定は2重測定(N=2)にて実施してください。
3) 信頼性の高いデータを得るために、コントロールは毎回測定されることをお奨めします。
4) 異なる試薬ロットの組合せや混合はお避けください。
【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。
 
 
 
【製品仕様】
● 測定項目: 蛋白質過酸化物(AOPP)
● 測定レンジ: 6.25〜100 μmol/L
● 所要時間: 約15分
● サンプル所要量: 125μL(EDTA血漿または尿)
● テスト数: 41テスト(N=2測定時)
● 必要な器具: マイクロプレートリーダー(測定波長340nm)、遠心機(3000 G)、8チャンネルマイクロピペット (50〜250μL)、
マイクロピペット(10〜1000μL用)、プラスチック試験管、蒸留水など
● 保存条件: 2〜8℃
【参考文献】
1) Witko-Sarsat V, et. Al.: Advanced oxidation protein products as a novel marker of oxidative stress in uremia. Kidney Int., 49(5):1304-13.(1996)
2) Peng KF, et. Al.: Advanced oxidation protein products induce monocyte chemoattractant protein-1 expression via p38 mitogen-activated protein kinase activation in rat vascular smooth muscle cells. Chin Med J (Engl). 119(13):1088-93 (2006)
3) Liu SX, et. Al.: Advanced oxidation protein products accelerate atherosclerosis through promoting oxidative stress and inflammation. Arterioscler Thromb Vasc Biol.26(5), p1156-1162 (2006)
4) Gallardo JM, et. Al.: Inflammation and oxidative stress markers by pentoxifylline treatment in rats with chronic renal failure and high sodium intake. Arch Med Res. 38(1),p34-8.(2007)
5) Rajdl D, et.al.: Effect of white wine consumption on oxidative stress markers and homocysteine levels. Physiol Res. 2006 Mar 23
6) Sebekova K, et. Al.: Association of metabolic syndrome risk factors with selected markers of oxidative status and microinflammation in healthy omnivores and vegetarians. Mol Nutr Food Res.50(9),p858-868(2006)
7) S. Chandramathi, K. Suresh, Z. B. Anita and U. R. Kuppusamy: Comparative assessment of urinary oxidative indices in breast and colorectal cancer patients J Cancer Res Clin Oncol 135(2) p319-323 (2009)
【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。