Rev.131017
酸化ストレスマーカー(タンパク質酸化損傷)
Protein Oxidation Biomarkers 日本老化制御研究所"
カルボニル化蛋白 測定キット
(Protein carbonyl ELISA kit)
(酸化ストレス研究用試薬) 医薬用外劇物
成分:硫酸(14%)
【タンパク質の酸化損傷生成物】
酸化ストレスの亢進は、タンパク質にもフラグメント化、アミン酸化など様々な形で酸化損傷を与えます。 中でもタンパク質のカルボニル化修飾は、よく研究されている酸化損傷生成物の一つであり、酸化損傷の鋭敏なバイオマーカーの一つとされています。 糖尿病患者(IDDM)において血漿中のカルボニル化蛋白レベルが上昇するほか、老化に伴い組織中のカルボニル化蛋白が増加すること、高齢者女性において 血清中のカルボニル化蛋白レベルが死亡リスクに関連することが報告されています。 カルボニル化タンパク質の測定には、従来からジニトロフェニルヒドラジン(dinitrophenylhydrazine: DNP)との反応を利用した比色法やHPLC法が 用いられてきましたが、必要なサンプル量が多い等の問題がありました。
本キットはサンプル中に含まれるカルボニル化タンパク質をDNPと反応させた後、 DNPが結合したタンパク質に特異的な抗体を用いることで、高感度にカルボニル化タンパク質を測定することができます。 本キットは、ニュージーランド オタゴ大学のフリーラジカル研究グループ(Christine C. Winterbourn教授ら)により開発されたものです。
【製品仕様】
● 測定対象: ヒトおよび動物の血清または血漿(ウサギ由来サンプルは測定不可)
● 測定レンジ: 0.05 - 1 nmol/mg protein
● 所要時間: 約5.5時間(又は一晩 +3.5時間)
● サンプル所要量: 約5μL
● テスト数: 96 wells(N=3測定時 25サンプル測定可能)
● 必要な器具: マイクロプレートリーダー(測定波長450nm)、8チャンネルマイクロピペット(50~250μL)、 マイクロピペット(10~50μL用)、4℃または37℃インキュベーター、エッペンドルフチューブ(1.5mL)、蒸留水
蛋白濃度が低いサンプルの場合には、28% Trichloroacetic acid (TCA)水溶液および 0.5mLサイズの エッペンドルフチューブが必要です。また、タンパク質濃度の測定が必要です。
● 保存条件: 本体は冷蔵保存(2~10℃ ・凍結不可)。
試薬E(DNP試薬)と試薬F(Guanidine hydrochloride diluent)は本体から取り出し室温保存をお奨めします。
冷凍保存の必要な添付品(-20℃以下)があります(試薬 G、K、L)。
※本キットは室温にて6週間まで安定です。商品が届きましたら適切に保管してください。
品名 商品コード 測定レンジ 価格(税込)
カルボニル化蛋白 測定キット KPC-010BT 0.05~1 nmol/mg protein 82,500円

【製造元】:BioCell Co., Ltd., New Zealand

医薬用外劇物
本製品は「医薬用外劇物」です。ご注文の際に「譲受書」をお送りください。
 
【参考文献】
1) Protein carbonyl measurement by a sensitive ELISA method. Free Radic Biol Med. 23(3), p361-366 (1997). Buss H, Chan TP, Sluis KB, Domigan NM, Winterbourn CC.
2) Protein Carbonyl Measurements by Enzyme-linked Immunosorbent Assay. Methods in Enzymology, Vol 300, pp106-111. (1999) Winterbourn, Christine C. and Buss, I. Hendrikje.
【製品構成】
1. マイクロプレート 1枚(96穴)
2. EIAバッファー(粉末): 蒸留水1Lを添加して溶解します。冷蔵にて4週間保存可能。 1本
3. ブロッキング試薬: EIAバッファーにて溶解して使用します。冷蔵にて4週間保存可能。 1本
4. Dinitrophenylhydrazine (DNP)試薬 【室温保存】: 調製後は室温暗所にて4週間保存可能。 1本
5. Guanidine hydrochloride diluent 【室温保存】: DNP試薬の調製に使用します。 1本
6. HRP標識-ストレプトアビジン: 使用直前にブロッキング試薬で20mLに希釈して使用します。 1本
7. 発色試薬: そのまま使用します。 1本
8. 反応停止液: そのまま使用します。 1本
9. ビオチン標識-抗DNP抗体 【凍結保存】 : 使用直前にブロッキング試薬で20mLに希釈して使用します。 1本
10. 標準物質 【凍結保存】: 蒸留水25μLを加え37℃30分溶解。調製後は凍結保存します。 6レベル * 1本
11. コントロール 【凍結保存】 : 蒸留水25μLを加え37℃30分溶解。調製後は凍結保存します。 1本
※ 4)調製済みDNP試薬は4週間保存ですが、2週間以上保存した場合には8000Gにて5分間遠心し上清を使用してください。
【測定手順】
1次抗体反応は、「4℃一晩」または「37℃2時間」のどちらでも可能です。 ご都合に合わせて実施条件を設定してください。
1. 前処理したサンプル、スタンダード、コントロール、各200μLをウェルに分注します。
2. プレートをシールして、4℃一晩または37℃2時間反応させます。
3. 反応液を捨て、EIAバッファー 300μL/ウェルにて5回洗浄します。
4. 全てのウェルに「希釈済みブロッキング試薬」を250μL/ウェル分注し、室温にて30分 インキュベートします。
5. 液を捨て、EIAバッファー 300μL/ウェルにて5回洗浄します。
6. ビオチン標識-抗DNP抗体を200μL分注し、37℃にて1時間インキュベートします。
7. 液を捨て、EIAバッファー 300μL/ウェルにて5回洗浄します。
8. 「希釈済み HRP標識-ストレプトアビジン」を200μL分注し、室温にて1時間インキュベートします。
9. 液を捨て、EIAバッファー 300μL/ウェルにて5回洗浄します。
10. 「発色液」を200μL/ウェル分注し、室温にて4~7分反応させます。発色(青色)の進行を 見ながら、 各ウェルでの反応時間が一律になるように、反応を停止させます。
11. 「反応停止液」を100μL/ウェル分注し、反応を停止させます。450nmの吸光度を測定します。
12. 検量線を作成して、サンプル中のカルボニル化タンパク質の濃度を算出します。検量線は、横軸に濃度 (nmol/mg protein)、 縦軸に吸光度(450nm)をプロットし、直線近似を用いて作成します。
【サンプルの調製】
サンプル中の蛋白濃度によってサンプルの調整方法が異なります。
血漿など蛋白濃度が高い(35~80g/L) サンプルは手順A、蛋白濃度が低い(<35g/L)サンプルの場合は 手順Bに従ってトリクロロ酢酸(TCA)による濃縮を行う必要があります。 手順Aと手順Bとでは、スタンダードおよびコントロールの 調製手順も異なりますのでご注意ください。

ヒト、マウス、ラット由来のヘパリン血漿やEDTA血漿が適用可能です。ヒト正常血漿の場合、タンパク質濃度は60~70 g/Lですので 手順Aを用います。血漿サンプルは予め遠心処理をして不溶物等を除去しておいてください。(※ウサギ由来サンプルは測定できません。)

【手順A】 蛋白濃度が35~80 g/Lのサンプルの場合(血漿など):
1. 必要な数の1.5mLエッペンチューブを用意します。 (サンプル用、スタンダード用 6本、コントロール用 1本)
2. 各エッペンチューブに「希釈済みDNP試薬」を200μL分注します。
3. サンプルまたは標準物質またはコントロールを5μL添加し、室温にて45分間インキュベートします。 このとき反応時間が全てのサンプルで正確に45分になるようにしてください。反応停止は、この反応液から5μLを取り出して 「EIAバッファー」と混合することで行います。
4. 同数の1.5mLエッペンチューブを用意し「EIAバッファー」1mLを分注しておきます。
5. 45分経過した反応液から 5μLを取出し「EIAバッファー」とよく混合します。
6. ELISAに適用します。

【手順B】 蛋白濃度が35g/L以下のサンプルの場合(髄液/気管支肺胞洗浄液など):
1. サンプル中のタンパク質濃度を測定します。タンパク質濃度が35~80g/Lの場合には、上記手順Aに従って サンプルを調製します。35g/L以下の場合には、下記の方法にてサンプルを調製します。
2. スタンダードおよびコントロール 5μLに対し、「EIAバッファー」45μLを添加し10倍希釈しておきます。
3. 0.5mLエッペンチューブを用意し、蛋白量20μgになるようにサンプルを分注します (分注液量は、各サンプルの蛋白濃度に応じて調整します)。
4. 蒸留水を添加して、各サンプルの液量が同じになるように調整します。
5. 0.8容量の氷冷した28%(W/V) TCA水溶液を添加、混合し、氷上にて10分静置します。
6. 10000回転にて3分間遠心し、上清を捨てます。上清を捨てる際にペレットを乱さないようご注意ください。
7. ペレットに対し「EIAバッファー」5μL、「希釈済みDNP試薬」15μLを添加し、 ボルテックスでよく攪拌します。
8. スタンダード、コントロールを5μL、新しいエッペンチューブに分注し、 「希釈済みDNP試薬」15μLとよく混合します。
9. 室温にて45分反応させます。サンプル、スタンダード、コントロールについて、 DNP試薬との反応時間が一律になるようにご注意ください。
10. 新しいエッペンチューブを用意し、「EIAバッファー」1mLを分注しておきます。 上記のサンプル/スタンダード/ コントロール反応液を5μL取り出し、「EIAバッファー」1mLと混合します。
11. ELISAに適用します。
※製品の仕様、構成および測定手順は製造元の都合により変更される場合があります。
ご使用の前に製品に同梱されている使用説明書をよくお読み下さい。
【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。