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用語解説/トピックス  
リノール酸(ω6多価不飽和脂肪酸)
多価不飽和脂肪酸は、2重結合の位置によってω3 (n=3)不飽和脂肪酸とω6 (n=6)脂肪酸とに分類される。ヒトはこれらの多価不飽和脂肪酸を 合成できないため、食品から摂取する必要のある必須脂肪酸である。
ω6不飽和脂肪酸の代表的なものはリノール酸である。 リノール酸(linoleic acid)は炭素数18の多価不飽和脂肪酸であり、9位と12位の2ヶ所に2重結合を有する。植物油に多く含まれており 生体内ではアラキドン酸に変換されリン脂質として存在するほか、プロスタグランジンなどの生理活性物質の原料として使用される。 2重結合を有するため酸化されやすい性質を持ち、主な酸化生成物としては13-ヒドロペルオキシド(13-hydroperoxide:13-HPODE) および9-ヒドロペルオキシド(9-hydroperoxide: 9-HPODE)が挙げられる。
13-HPODEとヘキサノイルリジン(HEL)
脂質酸化(過酸化)のバイオマーカーには、マロンジアルデヒド (malondialdehyde: MDA)4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-hydroxy-2-nonenal: 4-HNE)アクロレイン(Acrolein: ACR)といった バイオマーカーが知られており、生体内でも容易に検出できることから広く用いられている。一方、脂質酸化は、活性酸素によって直接酸化される 過程以外に、自動酸化反応に由来するものが知られている。このため、MDA4-HNEACRといった後期生成物の場合、生体内における 活性酸素発生量を必ずしも反映していない可能性がある。
多価不飽和脂肪酸は非常に酸化されやすく、代表的なω6不飽和脂肪酸であるリノール酸が酸化されると脂質ヒドロペルオキシド (13-ヒドロペルオキシド:13-HPODE)が形成される。脂質ヒドロペルオキシドは比較的安定な物質であると考えられてきたが、 名古屋大学 大澤らによって、脂質ヒドロペルオキシドもリン脂質やタンパク質アミノ酸を攻撃することが見出された。 中でも13-HPODEがタンパク質中のリジン残基(Lys)と反応して形成する付加体 (ヘキサノイルリジン:hexanoyl-lysine adduct HEL)が よく研究されている。脂質過酸化物であるMDA等とは異なり、脂質酸化の初期生成物である13-HPODEの安定な付加体であることから、 生体内における活性酸素による脂質酸化をより定量的に反映することが期待される。 また、ヘキサノイルリジンは非常に安定な物質であり、血清、尿といった臨床検体だけでなく 培養細胞でも定量的に検出できるため酸化ストレスバイオマーカーとして有用と考えられる。
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