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用語解説/トピックス  
文献紹介: スパイス類はハンバーカー加熱調理における過酸化脂質(MDA)生成を抑制する
肉の過熱調理においては、多量の脂質過酸化物が生成する。スパイス類には抗酸化物質が豊富に含まれ、脂質酸化の抑制効果を示す。 ハンバーガー(250g)にスパイス(11.25g パプリカ、オレガノ、ジンジャー等を含む)を添加した場合、内部温度が77℃に達するまで加熱調理した場合の マロンジアルデヒド(Malondialdehyde: MDA)含有量は、スパイスなしの場合(1.79±0.17μmol/250g meat) に比べ有意に低値(0.52±0.02μmol/250g meat)を示す。 加熱調理の前後において、添加したスパイスの抗酸化成分の一つであるロスマリン酸(Rosmarinic acid)は60%減少した。

スパイスを含まないハンバーガー(250g)を加熱調理後、健常者11名に投与、1時間おきに採血し血漿MDA の測定を行った。その結果、スパイスを含まない調理済みハンバーガーの摂取群では摂取後5時間経過時点で、 血漿MDA濃度の有意な上昇が観察された。一方、スパイスを添加した調理済みハンバーガー摂取群では、 血漿MDAの上昇は観察されなかった。また尿中MDA についても、スパイス含有バーガー摂取群は対照群に比べ有意に低値を示した。
【文献】:
Antioxidant-rich spice added to hamburger meat during cooking results in reduced meat, plasma, and urine malondialdehyde concentrations. Zhaoping Li, Susanne M Henning, Yanjun Zhang, Alona Zerlin, Luyi Li, Kun Gao, Ru-Po Lee, Hannah Karp, Gail Thames, Susan Bowerman, and David Heber.
Am J Clin Nutr 91,p1180-1184 (2010)
文献紹介: ラット糖尿病モデルに対するパームオイル由来トコトリエノールの効果
パーム油由来のトコトリエノールを豊富に含む画分について、ラット糖尿病モデルに対する効果を検証。
ストレプトゾトシン(streptozotocin: STZ, 50mg/kg body weight)投与したラット(Sprague Dawley雄,各群 n=7-8)において、 パーム油抽出物の効果を酸化ストレスマーカーを用いて評価。 主な測定項目は、血漿総コレステロール、LDLコレステロール、TG、 血漿SOD(superoxide dismutase)活性血漿ビタミンC濃度血漿過酸化脂質(4-HNE/MDA: TBARS法)DNA酸化(ここでは8-OHdGではなくコメットアッセイを用いています)。
血漿過酸化脂質(4-HNE/MDA: TBARS法)は対照群(14.51 nmol/g protein)に対し糖尿病モデル群 (25 nmol/g protein)で有意に高値を示し、トコトリエノール画分投与により有意に低値を示す(11.11 nmol/g protein)。 血漿SOD(superoxide dismutase)活性は対照群(3.33 u.e./g protein)に対し 糖尿病モデル群(1.27 u.e./g protein)で有意に低値を示し、トコトリエノール画分投与により有意な回復を示す(1.97 u.e./g protein)。 血漿ビタミンC濃度は糖尿病モデル群(0.66μg/mL)で低値となり、トコトリエノール画分投与により 有意に高値を示す(2.42μg/mL)。DNA酸化損傷もトコトリエノール画分投与群において有意に低値を示した。
【文献】:
The effects of palm oil tocotrienol-rich fraction supplementation on biochemical parameters, oxidative stress and the vascular wall of streptozotocin-induced diabetic rats. Clinics 64(3),p235-244 (2009) Siti Balkis Budin, Faizah Othman, Santhana Raj Louis, Mokhtar Abu Bakar, Srijit Das, Jamaludin Mohamed.
文献紹介: レスベラトロールに関する最近の研究動向
レスベラトロールは、細胞の損傷を防ぐ保護作用を持ち、ガン細胞に対するアポトーシスを誘導能を示すことから、 心疾患やガンの予防や治療への応用、神経変性疾患、炎症、糖尿病、心血管疾患など加齢性疾患の予防にも有効であると期待されています。
【文献】:
The Biological Responses to Resveratrol and Other Polyphenols From Alcoholic Beverages.
Alcoh. Clinic. Exper. Res. (2009) PMID: 19519720.
Brown L, Kroon PA, Das DK, Das S, Tosaki A, Chan V, Singer MV, Feick P.
レスベラトロール(Resveratrol)は赤ワイン、ベリー類、ピーナッツに含まれる天然のファイトアレキシン(phytoalexin)。 レスベラトロールの経口摂取(14±3.4mg/L水を6〜12ヶ月)により肝臓および心臓における 8-OHdG 蓄積を遅らせること、心臓および 尿中イソプラスタン (F2α)を低下させること、肝臓および腎臓における カルボニル化蛋白 の蓄積を抑制することが報告されています。
【文献】:
Elevation of oxidative-damage biomarkers during aging in F2 hybrid mice: Protection by chronic oral intake of resveratrol. Free Radical Biology and Medicine 46(6), p799-809(2009) Yee Ting Wong, Jan Gruber, Andrew M. Jenner, Mary Pei-Ern Ng, Runsheng Ruan, and Francis Eng Hock Tay
ウシの大動脈血管内皮細胞を用いた実験から、レスベラトロールはミトコンドリアを保護する酵素の産生を促し、有害な活性酸素を抑えることが 報告されています。
【文献】:
Resveratrol blocks high glucose-induced mitochondrial reactive oxygen species production in bovine aortic endothelial cells: role of phase 2 enzyme induction? Diabet. Obesity Metabo.,10: 347-349, (2008) Lu, C. et al.
尿中レスベラトロール代謝物はワイン摂取量と相関。411.4 nmol/g creatinineをカットオフとするとワイン摂取者の93%が該当。 アンケートによるワイン摂取量と正の相関(r=0.895)を示すことが報告されています。
【文献】:
Resveratrol metabolites in urine as a biomarker of wine intake in free-living subjects: The PREDIMED Study. Free Radical Biology and Medicine 46(12) ,p1562-1566 (2009), Raul Zamora-Ros, et.al.
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